
風の中にふと涼しさが混ざり、着物でのお出かけが心地よい季節になってまいりました。 秋が深まるにつれて、結婚式やお茶会、お子様の七五三など、フォーマルな装いのご相談をお受けする機会が増えてきます。
お着物や帯が決まり、ほっと一息ついたあとに「そういえば、バッグはどう合わせたらいいかしら?」と立ち止まってしまう方は、実はとても多くいらっしゃいます。
お悩みはごもっとも。そんな秋のはじまりに寄り添ってくれる、先日京都「衿秀(えりひで)」さんから届いたばかりの利休バッグをご紹介いたします。
先日届いた「衿秀」の利休バッグ|古典と洗練が宿る2つの表情
今回のセレクトで一番大切にしたのは、「古典の品格を保ちながら、現代の風景にすっと溶け込むこと」です。
華やかでありながら主張しすぎず、手元に品の良い落ち着きを添えてくれる2つのバッグが揃いました。
1. 吉祥文様が静かに華やぐ「紗綾型と七宝」

一つめは、晴れの日にふさわしいおめでたい柄(吉祥文様・きっしょうもんよう)を織り出したバッグです。
地には、端正で品のある「紗綾型(さやがた)」という伝統的な幾何学模様が浮かび上がります。その上に、円が永遠に連鎖して調和を表す「七宝(しっぽう)」や、生命力と慶びを象徴する「松梅」を重ね立体的に織りだしています。
古典柄をぎゅっと詰め込むと重くなりがちですが、こちらは全体をすっきりとした現代的な色調で織り上げています。 お祝いの席にふさわしい格調の高さがありながら、どこか軽やかで清々しい佇まい。訪問着はもちろん、すっきりとした色無地や付下げに合わせると、手元に品の良い明るさを添えてくれます。
2. 絹糸と金糸の陰影が美しい「組織(くみおり)」

もう一つは、「組紐(くみひも)」の技法をもとに生地を仕立てた「組織(くみおり)」のバッグです。
絹糸と繊細な金糸を丹念に組み上げることで、角度によって柔らかな光沢と陰影が生まれ、派手さを抑えた奥ゆかしい輝きを放ちます。非常に端正な織物です。
柄で魅せるというよりも、上質な素材と立体的な編み目の美しさで魅せるバッグですので、柄の多い華やかなお着物にもすっきりと調和します。 飽きが来ず、年齢を重ねても長く大切に寄り添ってくれる頼もしい一品です。
2つのバッグには異なる素敵な表情があり、迷ってしまいますね。
なぜ、フォーマルには「利休バッグ」が愛され続けるのか?
こうしたバッグを眺めていると、なぜ昔からフォーマルの席で「利休バッグ(ボストン型バッグ)」が選ばれ続けているのか、その理由がよく分かります。
元々はお茶席で使われていた形状がルーツと言われていますが、今なお愛されているのには確かな理由があります。
きちんと感と使いやすさを兼ね備えた「機能美」
利休バッグの大きな魅力は、自立する端正な安定感と、ファスナーを開けなくても両側の煽り(あおり)ポケットにすぐ出し入れができる機能美にあります。
ハンカチやスマートフォンをすっと取り出せる所作は、着物姿をとても美しく、落ち着いて見せてくれます。
現代のお出かけに必要な「容量」との心地よいバランス
和装のバッグ選びで意外と多いお悩みが「容量」です。 昔ながらの小ぶりなバッグも素敵ですが、現代のお出かけはスマートフォン、お化粧直しのコスメなど、少し手荷物が増えがちです。
品格を損なわずに、必要なものが無理なく収まること。 「見た目の美しさと実用性の心地よいバランス」を叶えてくれる点も、利休バッグが現代の女性に支持される大きな理由だと感じています。
丁度良い大きさに仕立てられた、このバッグの実用性は見逃せません。
京都「衿秀」さんの「ものづくり」
今回セレクトした京都の和小物メーカー「衿秀」さんは、伝統の技術を受け継ぎながらも、今の時代を生きる私たちが「持ちたい」と思える洗練された感覚をとても大切にされています。
熟練の職人技に裏打ちされた品格がありながら、決して重苦しくならない匙加減が、現代のフォーマルシーンにぴったり寄り添ってくれます。
レザーバッグと織りのバッグ、それぞれの心地よさ
フォーマル用のバッグというと、「伝統的な織りのもの一つに決めなければ」と思われがちですが、装いの選択肢はもっと自由であってよいと感じています。
弊店ではオリジナルのレザーバッグも制作しておりますが、革のバッグが持つモダンな軽やかさと、金糸や織りが生み出す伝統的な格調高さ、どちらにもそれぞれの良さがあります。
「今日はお祝いの格式を重んじたい日」「今日は少し肩の力を抜いて、現代的な装いを楽しみたい日」。 その日の席の趣旨やご自身の気分に合わせて、心地よい方を選んでいただけたら嬉しいです。
大切な一日のために、お気軽にご相談ください
着物のバッグ選びに「こうでなければならない」という絶対の正解はありません。お召しになる方の好みや、その日の思い出に寄り添うことが一番大切だと考えています。
ご紹介した「衿秀」さんの利休バッグは、オンラインショップおよび予約制の店頭にてご覧いただけます。
「手持ちの訪問着に合うかしら?」「色無地や江戸小紋にはどちらがおすすめ?」といったご相談も大歓迎です。お着物や帯をお持ち込みいただき、合わせながらゆっくりお話しすることもできますので、どうぞお気軽にお声がけくださいませ。
秋の清々しい季節、皆さまの特別な一日がより心豊かなものとなりますように。