
主役にしたのは武村小平さんの綿麻きもの。弊店の別注作品です。型染めによる輪郭と、ブナの葉を描いた有機的なリズムに引き付けられます。上質なカジュアルを目指して小田島克明さんの葛布を合わせます。
地風が豊かな自然布には、着物の総柄をぐっと引き上げる力があります。

寒色系に、少し温度を指す
帯周りはあえて色数を抑えて、寒色系のグラデーションでまとめました。帯揚げには、わずかに紫を含んだ「白菫色(しろすみれいろ)」の麻を選んでいます。
真っ白ではなくこの色を選んだのは、ほんの少しの色味の差が、装い全体の完成度を左右するから。ほんのりと温度が加わりおしゃれに仕上がります。
光を操る小物使いと仕上げ
帯締めには、着物の藍色と帯の藍緑を繋ぐ「青磁鼠(せいじねず)」や「灰梅(はいうめ)」といった中間色を使い、馴染ませました。
仕上げに置いた田上惠美子さんの帯留めは、私にとっての「光のポイント」です。箔と硝子の輝きが視線を集め、質感の重なりにシャープな輪郭を与えてくれました。
「奥行きのある涼」
盛夏の装いは、軽さばかりを求めると大人の着姿としては物足りなく感じることがあります。そこで今回は、素材感の豊かな葛布で「奥行きのある涼」を目指しました。
引き算の美学を大切にしながら、職人技が宿る布たちの調和を楽しむ。着る人を引き立てる、一際に上質なカジュアルスタイルが完成したと感じたのではないでしょうか。
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