大人の付下げは「引き算」と「ワントーン」で着たい

私は、大人の着物スタイルにおいて、大切なのは「飾り立てる」ことではなく「要素を選ぶ」ことだと考えています。

「引き算のラグジュアリー」をマスターする

今の私たちが目指すべきは、素材の良さが一目で伝わる奥行きのある装いです。今回、私が「今、本当に袖を通したい」と思える等身大のコーディネートを組みました。

すっきり「白茶」は素材感で美しく見せる

主役は吉澤友禅の付下げ。色は、肌をさっと明るくする「白茶」。 絶妙なベージュがかった白といいましょうか、着姿に清潔感と品格を演出します。

こちらは古典柄の「宝尽くし」をあえてスッキリと仕上げた弊店ならではの別注品です。

生地を最上級クラスのものに変え別注。愛らしい柄は大人の色でつくるという、弊店の考えに基づいた、お洒落で現代的な一枚。あきらかに質感が高く、シンプルな柄でも着映えします。

帯で「可愛い」を「格好いい」へ昇華させる

合わせたのは、勝山さと子さんに別注した袋帯「松皮菱」です。 ここで重厚な金地の帯を選ぶと、ちょっとクラシックな装いになりがちです。

白と灰を重ねるワントーンのレイヤードは、凛とした印象です。甘くなりがちな着物を、帯の質感で引き締める。このバランスに大人の余裕が宿ります。

小物にこそ「クラス感」

コーディネートの完成度を左右するのは小物です。

  • 帯揚げ: 帯からわずかに覗く「刺繍」がアクセント。この立体感が装いに深みを与えます。
  • 帯締めの選択: 都会的で知的な印象なら「緑」を。祝席にふさわしい華やかさを添えるなら「赤」を。一色で印象をコントロール。あなたならどちらを合わせますか?
  • 草履: 最も妥協してはいけないのは、足元です。台を通常より3分(約1cm)高く設計、着姿を素敵に整えた一足を選びました。真綿入りの履き心地はやさしく、履きやすいお品です。鼻緒は勝山さんに織るところから依頼、台は和小物さくらさんの制作です。

最後に

「新しさ」とは、トレンドを追うことではなく、自分を更新し続けること。

上質な素材に袖を通し、繊細な小物で今の気分を添える。そんな細部へのこだわりが、大人の着姿に魔法のような輝きをもたらします。流行に左右されない「あなたらしいワントーン」を、贅沢に楽しんでみませんか。